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夜間撮影に弱い?
4、マイクロフォーサーズ機の暗所性能
ディレクター・ライター:EMARK / 監修:SUMIZOON
作例・写真・イラスト:EMARK・SUMIZOON・GYUEEN TOKUGAWA
■はじめに
マイクロフォーサーズ機は「暗所性能が弱い」と耳にしたことがあるかもしれません。確かにマイクロフォーサーズ機はフルサイ機に比べてセンサーサイズが小さいことから、画素ピッチが狭く、そのためフルサイズ機に比べ、一般的に高感度耐性が劣ると言われています。
今回は実際にマイクロフォーサーズ機とフルサイズを比較しつつ、マイクロフォーサーズ機の暗所性能(高感度耐性)について解説していきたいと思います。 尚、マイクロフォーサーズ機が暗所に弱いというイメージを持たれている方は、以下の作例をご覧いただければと思います。
夜の撮影でも十分なクオリティで撮れる
上記作例ご覧いただくと、夜の撮影でもマイクロフォーサーズ機は十分な映像が撮れることがご理解いただけるかと思います。
■フルサイズ機との高感度ノイズ比較
まず、フルサイズ機との比較をしてみたいと思います。この映像は夜の街中でフルサイズ機とマイクロフォーサーズ機の両方で撮影した映像です。
【映像挿入】暗所ノイズ動画作例2(同じ画角で左GH7・右S5IIX)
F1.8 1/50 ISO4000 WB電球(3600ケルビンでもOK) V-Log(EMARK)
それぞれF1.8の絞り値で1/50のシャッタースピード ISO感度を4000としています。ホワイトバランスは電球に設定。いずれもV-Logプロファイルで同じ設定で撮影し、同じLUTを適用したものです。カメラ本体のノイズリダクションの設定や編集時のノイズリダクションも両者同じに設定しています。
まず、理解して頂きたい点として、「F1.8のレンズの明るさがあれば、都会の夜景は多くの場合においてISO4000程度でこれ位の明るさで動画撮影を行うことができる」と言う点です。F1.8の様なレンズを使えばISO12800の様な高い感度は、このようなシチュエーションでは全く必要ないと言えます。
次に、フルサイズ機(LUMIX S5IIX)とマイクロフォーサーズ機(LUMIX GH7)のノイズ感を拡大したものが以下になります。
【映像切出】暗所ノイズ動画作例2のノイズ静止画拡大表示(静止画にして拡大表示)(EMARK)
確かにこうしてみるとノイズ感に差があることがわかるかと思います。一方で、作例映像の様に全体をみるとその差は気になるほどではないことがお分かりでしょう。 ちなみに、筆者がマイクロフォーサーズ機を使っていて暗所撮影での高感度耐性で困ったという事はほとんどありません。
Technical Side Note :デュアルネイティブISO・ダイナミックレンジブースト
LUMIX S5IIXのようなLUMIXのフルサイズ機はデュアルネイティブISOと言う2段階のベース感度が設定されています。
デュアルネイティブISOは、イメージセンサーの画素データの読み出し技術の一つで、2種類のISO感度(ネイティブISO)を持つことを意味します。 通常のセンサーでは、ある1つのネイティブISO、すなわち最もノイズが少なく高品質な画像が得られる感度が存在します。しかし、デュアルネイティブISOではネイティブISOを2つ有しており、下記のようなメリットがあります。
・低ISO側:明るいシーンや一般的な撮影環境に最適な感度で、ノイズが極力抑えられ、色再現や解像度が良好
・高ISO側:暗い環境や低照度の状況での撮影に適しており、ノイズを抑えつつ十分な明るさを確保できる
LUMIX S5IIXのようなLUMIXのフルサイズ機ではISO3200とISO4000の間で低ISO/高ISOが切り替わるようになっています(V-Log撮影時)。
一方、マイクロフォーサーズ機のLUMIX GH6・LUMIX GH7・LUMIX G9PROIIではデュアルネイティブISOよりもさらに高度な「ダイナミックレンジブースト」技術が使われています。
この技術もまた感度の切り替えポイントがISO2000(V-Log撮影時)を境に存在します。そのため、これらの機種で高感度撮影をする場合、ISO1600よりもISO2000の方がノイズの少ない撮影が可能になっています。以前のカメラではISO感度を上げれば上げるほどノイズが多くなりましたが、最新のカメラではその考えは当てはまらなくなりました。
ダイナミックレンジブースト(第3回で解説)はこの切り替えを被写体の明部と暗部で使い分ける技術で、デュアルネイティブの進化系と言える。
デュアルネイティブISO(低ISOと高ISOを切り替える)
LUMIX S5IIXのデュアルネイティブISOによるダークノイズの変化(ISO3200とISO400に間でネイティブISOが切り替わる)
■明るいレンズで夜間撮影も大活躍するマイクロフォーサーズ機
マイクロフォーサーズ機は豊富なレンズラインナップがあることは第1回でも解説しましたが、マイクロフォーサーズ機にはコンパクトな明るい単焦点レンズを安価で揃えることができるのも魅力です。 「LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.」や「LUMIX G 25mm/F1.7 ASPH.」そして「LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.」はF1.7の明るさを実現しているレンズですが、フルサイ機のレンズと比べると圧倒的に安価なレンズながら、映りにも妥協のないレンズです。それぞれ35mm判換算で40mm/50mm/85mmとなります。
LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S. / LUMIX G 25mm/F1.7 ASPH. / LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.
また「LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH.」は35mm判換算で18mmの超広角撮影を可能とするレンズですが、こちらも非常に安価で映りも良いレンズです。
LEICA DG SUMMILUX 9mm F1.7 ASPH.
F1.7の明るさのレンズを4本揃えることもフルサイズシステムに比べるとコストが安いだけでなく、この4本の合計重量は500gに満たない重量となっています。(9mmF1.7:130g / 20mmF1.7:87g / 25mmF1.7:125g / 42.5mmF1.7:130g)
4本のレンズの重量は500gに満たない
さらに明るく、上質な描写を求めるなら「LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 II ASPH.」や「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.」といったレンズもあります。マイクロフォーサーズ機は明るい単焦点レンズの選択肢が非常に多いと言う点はメリットと言えるでしょう。
暗所性能の話の回でなぜこんな話を書いたかというと、これらのレンズを使うことでISO感度を低く抑えることができ、結果として暗所撮影に威力を発揮するからです。これらのレンズを使うと、よほどの暗い場所でもない限りISO感度を4000程度まで抑えることができるのです。
カメラの高感度特性に頼るという撮影方法を否定するわけではありませんが、カメラの高感度を上げずに綺麗に撮影する方法として、明るいレンズを検討してみるのも良いと思います。
上記レンズで実際に撮影した映像は「第8回のオススメレンズと組み合わせ」で詳しく紹介します。
■マイクロフォーサーズ機の高感度は動画撮影でどこまで使える?
前述の様に、明るいレンズがあれば暗所撮影でもISO感度は4000までに抑えることは可能ですが、暗いレンズを使わざるを得ない状況であったり、深い被写界深度を稼ぐためにF値を絞る撮影の場合においてはISO感度設定を高めにする必要があります。 ではマイクロフォーサーズ機はどのくらいのISO感度で撮影することが可能か考えてみたいと思います。LUMIX GH6・LUMIX GH7・LUMIX G9PROIIのISO感度設定はISO12800まで可能ですが、実際にディテールとノイズ感から考えて使える感度には限度があると考えています。 もちろんどの程度の感度まで使えるかは、人によって感じ方も異なりますし、被写体の照度やディテールの多さにも依存します。また、ノイズリダクションなどの後処理の方法によっても変わります。ですが、筆者はISO6400までを常用感度として使用し、極端に暗い場合や暗いレンズを使わざるを得ない場合はISO12800を上限として撮影するようにしています。
【映像切出】暗所ノイズISO6400の設定での動画切り出し(SUMIZOON)
マイクロフォーサーズでもここまで美しい描写ができる
スチル撮影と違い、動画撮影の場合はフレームレート付近でのシャッタースピード設定をおこなうことが一般です。例えばフレームレートが30p撮影の場合においては1/60や1/50を使うことがほとんどです。つまりスチル撮影の様な「被写体をブレなく止めて高速なシャッタースピードで撮影する」という手法は、動画撮影ではあまりありません。
一部、ハイフレームレート撮影の120p撮影などのハイフレームレートでの撮影においては、ある程度のシャッター速度が要求されるわけですが、それでも1/250程度のシャッタースピードの設定が必要な程度です。「動体だからブレや被写体を止めるために1/1000以上のシャッタースピードを使う」という概念が動画撮影の場合は無いのです。
つまり、スチルに比べて高速なシャッタースピード要求が少ないのです。そいういう意味でスチル撮影よりも動画撮影の場合の方がISO感度の要求性能は低いと言えるのかもしれません。 このことも動画撮影においてマイクロフォーサーズ機は低照度でも使える理由と考えています。
Technical Side Note :動画のシャッタースピードの考え方
スチルの撮影経験が長い方が動画撮影を始める場合、違和感を感じるのがシャッタースピード設定だと思います。かれこれ10数年前に筆者が動画撮影を始めた頃、被写体が速く動く場合はスチルと同じ様にISO感度を上げてまで高速なシャッター速度を設定していました。
動画撮影の場合は一般的にフレームレートの2倍程度のシャッタースピードに設定する事がセオリーとされています。つまり、24p撮影の場合はシャッタースピード1/50で撮るのが一般的な設定方法です。 絵が連続する動画の場合は1フレームに適度なブレが発生した方が、映像として自然に見えることから上記がセオリーとされていますが、そう考えると「スチルで夜間の動体(の動きを止める)撮影をする場合に比べ、動画撮影ではシャッタースピードを圧倒的に遅くISO感度を下げられる」とも考えることができます。
スチル撮影では高速なシャッター速度設定の必要がない
■照明に頼る撮影も
前述の説明で、マイクロフォーサーズ機の場合、明るいレンズを使えば暗い状況でも撮影できる。という事はご理解いただけたかと思います。感度もISO6400まで使えるのであれば、極端に暗い状況でなければ極端に明るいレンズを使わずに撮影することができるのです。
暗い状況でもレンズと感度とシャッタースピードの設定で、ISO感度を低く抑える工夫をすることをまずはお勧めします。ですが、極端に暗い中での撮影であれば、マイクロフォーサーズ機の高感度耐性はフルサイズに比べて劣る部分が現れてきますので、その際は照明を取り入れる撮影を検討するのも一つの方法です。
照明を工夫するのも感度を下げる撮影方法
照明は演出という側面と、綺麗に撮影できるISO感度に抑える二つの側面がありますが、いずれも適切な照明を使うとISO感度を低く美しく被写体を撮影することができます。また昨今はLEDの定常光照明がかなり安価に購入できるようになってきましたので、これまで以上に暗所でのノイズの少ない撮影がフルサイズ機を使わなくても可能となってきました。
まとめ
今回は、マイクロフォーサーズ機における高感度撮影の実状について記載してみました。いかがでしたでしょうか?フルサイズ機に比べてマイクロフォーサーズ機は詳細に比較すれば高感度特性に劣るのは確かではありますが、動画撮影において夜の撮影でもは特に困った経験はありませんし、いかに綺麗に動画が撮れるかもご理解いただけたのではないかと思います。 それでも、ノイズを少しでも抑えたいと感じるのであれば、設定を見直したり、明るいレンズや照明を使うなどの方法を検討するのが良いと思います。
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